理容師・美容師とは両者とも頭髪のカットやアレンジを行う職業ですが、まったく別々の国家資格となっています。理容師は一般的に床屋と呼称された理髪店で、主に男性相手のカット、髭剃り、洗髪を行うのに対し、美容師は主に美容院で女性相手にカット、パーマ、カラーリングなどを行ってきました。しかし最近では男性でも髪型にこだわる人も多く美容院を利用したり、理髪店でも女性客にも入りやすいようなおしゃれな店舗や女性向けのメニューを増やすなどの変化が見られています。店舗の外観や名称では理髪店なのか美容院なのかが判らないほど、理容師と美容師の違いは明確ではなくなってきています。但し、理容師は顔そり(髭剃り)が許されているのに対し、美容師は原則的には許されていないなど、制度上は両者は明確に区別されています。現状の実態に即して理容師と美容師の資格を統合してはどうかという意見もあるようですが、現在の段階では具体的な動きはありません。理容師、美容師になるには国家試験に合格して免許を取得する必要があります。国家試験の受験資格は厚生労働大臣が指定したそれぞれ理容師養成施設、美容師養成施設の必修課程を修了している必要があります。養成施設の教育は昼間、夜間、通信コースがあり、入学資格は、多くの養成施設は高卒以上ですが、中学校卒業でも入学することができる養成施設もあります(中卒で入学できる養成施設は夜間、通信コースが多いが、昼間コースも数は少ないながら存在します)。

理容師と美容師の養成教育

理容師養成教育、美容師養成教育ともに昼間コース、夜間コースで2年間、通信コースでは3年間の教育を受けることになっています。夜間コースでは一日の勉強時間が短いので、冬季および夏季に特別講習を行ったり、補習枠で履修時間を補っていることが多いようです。通信コースでは毎月一回程度のレポート提出と夏季、春季の実技教育を中心としたスクーリングにより教育を行っています。時間や経済的にも余裕がある高校卒業者は昼間コースを選択することが多く、実家が家族経営で理髪店、美容院を経営している場合などは、客の多い週末や平日夕方に店舗の手伝いをしながら就学するケースもあるようです。イペント等もあり学校というイメージが強いです。日中は理髪店、美容院で理容師見習い、美容師見習いとして就業している、あるいは他の職業をもっている場合、高校卒業資格が無い場合などは夜間コース、通信コースを選択することが多いようです。夜間コース、通信コースは昼間コースに比べれば費用も低めですが、デメリットもあります。夜間コースは日中の仕事の疲れなどで勉強に集中できなかったり、勉強に追われたり残業ができなかったりと仕事に影響がでることもあります。通信コースは時間の制約が少ないのが利点ではありますが、3年間と期間が長い上に、強制力がない分勉強時間を自己管理する必要があります。安易な気持ちで受講すると、中途で挫折し受講費用を無駄にすることになるので十分な検討をすることが重要です。

理容師と美容師の国家試験

さて、養成教育の必修課程を修了すると、理容師、美容師の国家試験を受験することになります。試験は1月から3月の春季試験と7月から9月の秋季試験が実施されています。理容師、美容師とも実技試験が先に行われ(試験日は別)、約一ヵ月後に筆記試験が行われます(試験日は同一)。実技試験と筆記試験は同時に合格するか、一方に合格して次回の試験に他方に合格する必要がある。従って養成施設で必修課程を修了した春季の試験で実技試験、筆記試験を両方受験するのが一般的で、秋季の試験はいずれか一方、又は両方に不合格だった受験者への救済措置的な意味合いから実施されたものです。試験の合格率は新卒者の春季試験では理容師美容師ともに例年8割から9割以上と高く、既卒者となると5割未満となっています。理容師になりたい、美容師になりたいというしっかりした意思を持って養成施設で真面目に勉強をしていれば問題なく合格できる試験内容で、一度不合格になった人は学習の機会も少ない為なかなか合格できない、というのが実情のようです。実技試験、筆記試験の両方に合格すると、国家試験合格証書が送付されるので免許申請をすることにより免許証が交付されます。免許証を取得して始めて理容師、美容師として業務を行うことができます。免許取得後いきなり独立開業というのは資金の問題もあり難しいものがあります。大手のヘアサロンに就職する、理髪店・美容院で見習いのような形で修行する、家業の理髪店・美容院を継ぐのが一般的です。