行政書士とは、官公庁(省庁、役所、役場等行政機関)に提出する書類を作成を主とした業務とする法律関係の国家資格である。具体的に行政機関に提出する書類とは、許可、認可、免許の取得などがあり、建設業、旅行業、運送業、風俗営業業等の開業にはさまざまな手続きが必要で、それらの書類作成から手続きまでを行政書士は代行することができる。業務独占資格(資格を持っていないと特定の業務を行うことが出来ない)の為、受験者は年々増加していく傾向にある人気資格である。公認会計士は会計関係、税理士は税務関係、司法書士は登記・供託関係を専門分野としているが、行政書士の担当業務は広範囲にわたっている。その為、一人の行政書士で全ての手続きに精通している者は少なく、一定の得意分野を持って専門的に業務を行ったり、複数の行政書士で事務所を共同経営したりすることも多い。また、弁護士、公認会計士、税理士、弁理士、20年以上公務員として行政事務の実務経験があるものは行政書士となることができる。これらの資格は行政書士の業務とも密接に関わっているため、連携をとることも多い。近年ではコンピュータとインターネットの普及により、提出書類も従来の紙媒体から電子化されたりネットによる手続きを導入する行政機関も増加している。また、法改正により職務範囲が拡大しており、行政書士にはより一層の知識を要求されることとなっている。そのような状況から国家試験の難易度は高く、平成18年度には試験制度が改正された。

行政書士の国家試験

行政書士の国家試験には年齢、学歴、実務経験、性別等による受験資格による制限は無く、だれでも受験することができる。試験日は例年11月の第二日曜日に実施される。 合格基準はまず全体の60パーセント以上の正答率であること、次に行政書士の業務に関し必要な法令等科目の正答率が50パーセント以上、最後に行政書士の業務に関連する一般知識等科目の正答率が40パーセント以上であること。この3点の要件をすべて満たした場合に合格となる。試験内容は行政書士の業務に関し必要な法令等科目が46問で択一式と40字程度の記述式、行政書士の業務に関連する一般知識等科目が14問の択一式となっている。試験時間は3時間で問題数が60問なので、単純計算で3分で1問のペースで問題を解くことになる。合格率の推移は概ね10パーセント未満(平成13年度が10.96パーセント、14年度が19.23パーセントと例外的に高いが、出題問題のミスがあった為の救済処置によるもの)で年度によっては2パーセント台の合格率もある(ちなみに、平成19年度の合格率は8.64パーセントであった)。受験勉強としては行政書士資格の専門学校に通学したり通信教育を受講したりするものも多いが、独学でも十分合格することは可能だ。難解な法律文書を読み解く必要があるので、法律系の大学で学んだ者は若干有利で独学で一年程度の学習で合格する場合もある。但し、試験範囲が非常に広いので計画的な学習をする必要があり、勉強のペースをつかむのが苦手な人は専門学校を利用したほうが無難である。

独学での上手な専門学校の利用法

行政書士の国家試験は合格基準が合格率や合格者数ではないので、一定のレベルの学習をしておけば独学でも十分合格することができる。但し、記述式問題は正解になる書き方のコツがあるので、「記述式の試験問題には自信がある」という人以外は専門学校や通信教育講座などを活用したほうが学習の効果は上がりやすい。対策としては択一式に関しては過去問題集を繰り返し解くことによって出題パターンや傾向をつかみ、回答率をあがることができるので、独学であっても専門学校、通信教育を利用する場合でも有効な学習手段である。他の資格と異なり、行政書士の事務所で働きながら受験勉強をするのは学習に関してはあまり効果が無い。行政書士の試験内容は広い法律的な知識と一般知識が試験科目になっている為、試験内容は実践に即したものではない。従って実務経験は学習にはあまり有益ではない。しかし逆に、受験勉強では行政書士としての最低限の知識しか身に付かない為、行政書士事務所で働くことは業務経験を重ねられるのと人脈を広げられるため、それだけ独立開業への貴重な足がかりとなる。最近では大学在学中に行政書士試験にチャレンジする者も増えていることから、合格後も即座に開業するのではなく、行政書士事務所、あるいは税理士事務所、公認会計士事務所、司法書士事務所などに勤務し3,4年の経験を積んだ後に独立するケースが一般的といえる。開業後も簡単に高収入が得られる訳ではなく、1,2年は地道な努力と営業を続ける必要がある。