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司書と言う職業があります。「書(しょ)を司(つかさど)る」という職業名のとおり、図書館で書物を扱う人の職業ですが、司書は単なる本の貸し出し、返却係ではありません。司書とは、図書館を利用する人のガイド役であり、コンサルタントでもあります。比較的イメージが近いのはホテルのコンシェルジュでしょうか。利用者の要望や相談を聞き、それに対するサービスを提供するのが司書の職業ですが、現在の日本では図書館にいる騒ぐと叱ってくる人、という謝った認識がされており、コンピュータによる書籍の検索システムも発達したため、本来の業務範囲は狭くなってきています。更に当然ながら貸し出しや返却係としての業務もありますし、重い本を運搬したり、高い位置にある書架の書籍を整理したりと雑用的な仕事から肉体労働、図書館全体の管理運営までさまざまな業務を行うことを求められます。単に、本が好きだから、図書館が好きだからでは勤まらない奥行きのある仕事といえます。図書館というのは公益サービスの性質上、国または地方自治体(市町村等)が設立運営するものがほとんどのため、司書のほとんどは地方公務員です(国会図書館等一部の図書館司書には国家公務員も存在します)。安定した地位と収入を得られる職業として根強い人気があります。しかし、近年では利便性を向上するため土曜日、日曜日などの休日開館や夜間の開館時間延長などもあり、司書の勤務体系もシフト制が組まれるなど複雑になってきています。

司書の資格を取得するには

司書の資格を取得するには、さほど難しい要件はありません。大学、短期大学で司書資格に必要な一定の単位を履修し卒業するか、大学、短期大学を卒業、又は在学中に司書講習を受講して資格を取得し、卒業することによりその資格が有効になります。資格取得に必要とされる単位は20単位であり、夏季の集中講義として司書資格講習を開催する大学もあり、在校生、社会人等を数多く受け入れています。一方で、大学や短期大学を卒業していないが司書の資格を取得したい場合は、比較的簡単意大学卒業資格が得られる放送大学や通信制の大学で62単位以上の履修をしてから司書講習を受講することが最短期間の手段となります。いずれにせよ、決して難しくない条件であり、講習を受けるだけで資格が取得できる(資格試験がない)など資格としての取得難易度は非常に低いレベルであるといえます。講習によっては実技講習もありますが、介護や医療系資格のように特殊な器具や機械を扱うわけではないので、要するに大学を卒業できる程度の人であれば誰でも取得することができるものです。口述するように司書として就職するには非常に競争が厳しく、資格取得が就職に与える影響も少ないのが現状ですが、講習を実施する教育機関は経営上の考え方からかその辺りの現状は積極的にはアピールしません。もっとも、司書講習に参加する社会人の受講者は全員が図書館に就職して司書を目指すわけではなく、生涯学習の一環として受講する場合もあるようです。

司書資格の取得者の就職の現状

司書資格は、取得したからといって即就職ができるような資格ではありません。また、資格を持っていないと司書の仕事ができない、ということもありません。また、就職先である図書館においても主に必要とされるのは貸し出し返却係りであり、毎年司書を新規採用する図書館は非常に少ないのが現状です。各地方自治体は、財政削減などの名目で高年齢者の再雇用やアルバイト、派遣社員などの短期労働者を活用して人件費を削減している図書館がほとんどです。従って司書資格を取得しても図書館で司書として働くのは非常に難しいといえます。但し、公立図書館を運営する地方自治体の中でも、東京都、大阪市、名古屋市等の大都市であれば司書資格取得者を対象として定期的に採用試験を実施しているところもあります。比較的大都市であれば運営する図書館の数も多く、それだけ職員数も多いのですが、競争が厳しいことには変わりはありません。また、地方自治体で採用されるので、身分は地方公務員となることも競争が激化している一因です。一方で、少ないながら民間の図書館も存在します。大抵の私立大学には図書館があるので、大学図書館の司書を目指すという選択肢もあります。この場合は司書の資格を問われないことも多く、大学職員として採用された人が図書館に配属されるケースがほとんど。さらに大学職員自体卒業生から優先的に採用する傾向があるので、在校生であれば若干有利ですが、採用も少なく競争率は厳しいのが現実です。