医療事務という資格は他の資格と違ってちょっとわかりにくい。何故なら「医療事務」という名前の資格は存在しないからだ。では医療事務とはどのような資格を指すのかというと、主なところでは「医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)」、「診療報酬請求事務能力認定試験」「ケアクラーク技能認定試験」「医療秘書技能検定試験」等がある。この他にも医療機関で事務(診療報酬請求等)に関わる業務向けの資格としては民間資格も多数あり、それらを総称して「医療事務」または「医療事務系の資格」といった呼び方をするため、単一の資格と誤認してしまいがちなのである。医療事務の仕事(業務)というのは資格を持っていないとできない訳ではなく、その点秘書に似ている。秘書検定などの資格はあるがその資格が無くても実務を行うことはできるし、医療機関としても資格を持っている者を雇用する義務も特に無い。専門学校の広告では「就職に有利!」などのあおり文句が載っているが、これは「持っていない人に比べればどちらかといえば」という但し書きを付けるのが現実的なところかもしれない。資格マニアでなくて真剣に医療機関への就職を考えているのであれば、あるいは現在医療事務に従事していてステップアップを考えているのであれば、どの医療事務資格を取得するかは十分に検討しておきたいところだ。実際、資格を複数持っているより、実務経験が半年でもあったほうが就職には有利なこともある。やみくもに資格を取るのではなく、まずは受験資格など資格ごとの概要を把握し、自分に適した資格を選択することが重要だ。

医療事務資格の概要(基本)

医療事務系の資格が複数あることは上で述べたが、次は各資格の概要と特徴を調べていこう。まずはじめに「医療事務技能審査」は、厚生労働省認定の公的資格であり、医療事務の資格の中でもステータスも高いが、受験資格が必要となる。1級と2級(それぞれ医科と歯科がある)があり、2級は実務経験6ヶ月以上か認定された教育機関(医療系の専門学校、短大、4年制大学等)を修了したものとなる。1級は3年以上の実務経験、2級合格後1年6ヶ月以上の実務経験、認定教育機関を修了となっている。合格者はメディカルクラークと呼称され、医療事務の知識のみならず患者への接遇、コミュニケーションも問われるややハードルが高い資格で、現在医療事務に従事している人、又は将来医療関係に従事するという方針で進学の進路を検討している人向けの資格といえる。次の「診療報酬請求事務能力認定試験」も厚生労働省認定の公的資格である。医科と歯科がある点はメディカルクラークと同様だが、受験資格は無い。試験会場へ診療報酬点数表その他の資料の持込ができる。合格率は30パーセント前後でやや難易度は低く、未成年の受験者が3割を超えているということからも、これから医療事務系の職業に就く、または就職を志している人が最初に取得するのにふさわしい資格といえる。3番目の「医療秘書技能検定試験」は診療報酬関係等医療事務の知識に加え、医療機関の組織運営や医学的知識までが審査領域となっている。受験資格は無いが、よりレベルの高い資格であり、ステップアップを目指している人向けといえる。

医療事務資格の概要(その他)

医療事務の資格としてメジャーなものは上記の3つで、他の医療事務系の資格はやや特殊な部類に入ったり、マイナーなものになる。医療機関の求人に応募する際に、履歴書に同じような資格がたくさん書いてあっても唯の資格マニアと見られてしまうので、以下の医療事務系の資格は自分の希望進路に合わせて取得を考えたい。まずはじめに「ケアクラーク技能認定試験」は、介護事務業務が対象となる。介護保険の新設に伴い、居宅介護サービス、介護保険施設等における事務能力を問うとなっている。介護福祉施設、老人保健施設等への就職を考えている人向けの資格である。受験資格は無い。「医事コンピュータ技能検定試験」の主催は「医療秘書技能検定」と同じく医療秘書教育全国協議会である。現在医療の現場では診療報酬の計算などでコンピュータが活用されているため、医療事務(診療報酬計算)はパソコンと密接に関わっている。従って、実践的な医療事務の資格といえる。コンピュータの基礎的知識も問われる(実技試験も有り)ので、他業種への転職に好印象を与えるものと思われる。受験資格は無い。「福祉事務管理技能検定試験」は同じく医療秘書教育全国協議会の主催である。福祉関連機関の業務を処理する能力を問われる資格である。ケアクラークと同様、介護福祉の分野への就職を志している人向けである。併せてホームヘルパー2級などの資格を取得して介護福祉関連機関で実務経験を積めば、ケアマネジャーの受験資格を得ることも可能だ。