視能訓練士とは、眼科医療における検査、回復訓練、指導などを医師の指示のもとに行う国家資格でいわば眼の専門家です。英語ではOrthoptistと呼称し、ORTという略称で呼び習わされています。視能訓練士という職業名は一般的にはあまり知られていませんが、その主な役割は、総合病院の眼科や眼科診療所等で眼科医が行う検査を補助をすることです。従って、眼科を受診したことのある人は気づかないうちに何等かの形でお世話になっている可能性が高いといえます。資格取得者に占める女性の割合は非常に高く、視能訓練士の約9割は女性であるといわれています。視能訓練士の国家資格としての歴史は意外と古く昭和46年に最初の国家試験が実施されました。しかし、養成施設(専門教育施設)の整備が進まなかったため視能訓練士の数は多くありません。視能訓練士の業務内容は、医師の指示のもとに眼の機能(視機能)に障害をもっているものに機能の回復のために検査と回復の訓練を行うことです。視機能の障害は弱視や斜視等の発達障害(斜視は外傷が原因のものもあります)などの他、事故等の外的要因による障害や、疾病による機能低下(糖尿病が原因の視機能障害は有名)なども含まれます。それらの原因を突き止めるための検査や、医師の診断による治療方針の下に行う機能回復訓練の実施には、一口に視機能が対象と言っても広範な知識を必要とします。パソコンの発達による現代は眼にとって厳しい環境であり、視能訓練士の果たす役割はますます増大していると言えるでしょう。

視能訓練士の国家試験と専門学校

視能訓練士になるには、専門の視能訓練士養成学校を卒業して国家試験に合格する必要があります。養成学校の年数は、高校卒業で3年以上、大学、短期大学、看護学校卒業等で1年以上となっています。従って高校卒業後に最短期間で視能訓練士を目指すのであれば、3年間で資格を取得することが可能です。しかし視能訓練士として就職するにあたって、民間の総合病院等では学歴によって給与体系が異なる場合も多く、専門学校卒業と大学卒業では将来的に格差が生じる可能性もあるので、自分が考える将来の姿と経済面などを十分考慮して決めることが重要になります。また、視能訓練士養成学校は全国的に見てもまだ数は少なく、大学や専門学校を合計しても23校しかないのが現状です。専門学校の設置場所は地域的な偏りもあり、関東地方に6校、東海と近畿に各4校と都市部に集中する傾向がありますので、通学においても場合によっては大きな負担となることを考慮する必要があります。専門学校によっては資格取得後の就職先にも特色があるので、十分な下調べをすることをお勧めします。視能訓練士の国家試験は、例年2月末から3月はじめ頃に実施され、4月には合格発表が行われます。試験地は東京か大阪の2会場です。合格率は非常に高く、97パーセント前後となっています。専門学校によっては100パーセントの合格率を誇る学校もありますが、要するに養成教育でまじめに勉強をしていれば新規卒業者はまず問題なく合格できるレベルの問題といえるでしょう。

視能訓練士の就職の情報

視能訓練士の就職状況は、そのほとんどが公立、民間の総合病院や眼科の専門病院と診療所などの医療機関となっています。眼科の専門病院や診療所(個人医院、クリニック等)に勤務する視能訓練士は2割程度で、6割以上は大規模な総合病院に勤務しているようです。糖尿病等の疾患による視機能障害等、眼科医以外の多方面と連携してチーム医療の一員として働くケースも多いようです。求人状況の地域格差では、都市部では民間経営の病院からの求人が多いのに対し、地方では公立病院からの求人が多くなっています。専門養成訓練校が都市部周辺に集中していることから、卒業後も都市部で就職希望をする資格者が多いなどの関連性があるようです。視能訓練士としての職業は医師や看護師同様に医療関係業務ではありますが、眼科自体が他の診療科目とは異なり、緊急性を要する疾病がほとんど無いため、医師や看護師のような交代勤務や当直勤務はほとんどなく、日中のみの勤務が一般的です。そのため、勤務時間や休暇なども融通が利く場合が多いようです。視覚という人間の五感の中でも重要な機能が治療の対象となっていること、また対象が乳幼児や高齢者であることも多いことから、視能訓練士には言葉による高いコミュニケーション能力を要する場面が多くあり、女性に適した職業といえます。また勤務時間が安定している職業であると共に、経験や向上心が重要な職業なので、結婚や出産等で退職した後も再就職がし易いのは大きな特徴です。