作業療法士とは、リハビリテーション医療における国家資格であり、作業療法により患者の応用的な動作の機能回復をめざす職業です。資格としての歴史は意外と古く、昭和40年に制定された理学療法士作業療法士法に基づく資格です。作業療法士とは英語圏ではOccupational Therapistと呼ばれ、日本では一般的に”OT”(オーティー)という略称で呼び習わされています。リハビリテーション医療の分野には、言葉によるコミュニケーションを中心にリハビリを行う言語聴覚士(ST)や、運動療法と物理療法により基本的な動作の機能回復を目指す理学療法士(PT)などがあり、作業療法士も医師の指示の下に言語聴覚士、理学療法士等と連携して患者にリハビリを実施します。作業療法とは、身体機能の回復を目指すという点では理学療法とも密接に関わっていますが、理学療法士が基本的な身体機能の回復を目的とするのに対し、作業療法士は患者の日常生活に不可欠な応用的な動作の回復を目指します。従って、主に手芸や生活動作の訓練を通してより実践的なリハビリを行うので、患者に対する肉体的な接触が占める割合は高くなります。リハビリ中の患者は思うように動かない自分の肉体に対し、心理的なストレスを抱えていることがほとんどです。手先や身体を触れ合わせる機会が多い作業療法は単なる機能回復にとどまらず、作業療法士がコミュニケーションを通して患者と協調共同して訓練を行うことにより、精神面でのケアの効果もあるようです。

作業療法士の国家試験

作業療法士の資格を取得するには、指定養成教育を3年以上受けた後に国家試験に合格する必要があります。指定養成教育には文部科学省が管轄する大学及び3年生の短大と、厚生労働省が管轄する専門学校があります。養成施設はほぼ日本全国にあり、多くは理学療法士と作業療法士の両方のコースを併設しています。作業療法士として就職する場合、本来は学歴はあまり関係はありませんが、民間企業や医療法人では学歴によって給与体系が異なる場合があるようです。リハビリの現場を離れて管理職として指導・監督的立場になった場合、もしくは医療福祉分野から他業種へと転職を考慮する際にも学歴が影響する場合があるので、現在は作業療法士を志していても、自分の将来を長期的に見据えて養成学校を選択をする必要があります。養成施設の教育は作業療法士として必要な基礎知識や技術を実に付ける時間だけでなく、実践的な技術を身につける為の臨床実習の時間が多くあり覚悟が必要です。実際の現場に実習生という立場ながら本物の患者と相対して働きながらレポートを作成したりする為、実習中は時間的余裕は極めて少なくなります。一般の大学生のようにアルバイトをしたり遊んだりという訳にはいきません。作業療法士の国家試験は毎年1回、3月に実施されていて、試験形式は筆記試験です。合格率は70〜90パーセントと年度ごとにやや変動がありますが、落とす為の試験ではなく養成教育で学んだことの確認の為の試験といえます。

作業療法士の合格発表と就職の情報

作業療法士の国家試験は4月に合格発表されます。合格した場合は免許の申請を保健所にを行うことによって作業療法士の免許証を交付してもらえます。作業療法士の就職状況は医療機関からの求人数も多く比較的就職先は確保しやすいのが現状ですが、合格発表が4月なので、大抵は作業療法士として採用されてから合否が決定しますので、不合格であった場合は非常に立場が無くなってしまいますので、万が一にも不合格となることが無い様にしっかりと受験対策をしておくことが重要です。就職先の多くは医療施設であり、大規模な総合病院のリハビリテーション科に就職する傾向が多くありますが、リハビリテーション専門の病院や老人介護福祉施設等に勤務する作業療法士も増えています。最初に勤務する職場によって習得する技能は大きく異なります。まず最初は総合的な技能を学ぶ為に総合病院に就職し、自分の適性を見極め、目指す作業療法士としての姿を描いてから専門的な医療機関、福祉機関等へ転職するのも一つの選択肢です。作業療法士という職業は医療関係業務ですが、リハビリという性格上緊急性を要する業務ではありません。その為、医師や看護師のような交代勤務はなく、昼間のみの勤務がほとんどです。大規模な総合病院等であれば作業療法士の人数も多く、休暇など自分の時間をコントロールしやすい職業です。勤務時間が安定している上に、学校で覚えた知識よりも経験がものをいうので、女性にとっては結婚や出産で退職した後も再就職がし易い職業といえます。