鍼灸師とは、はり師ときゅう師の資格を持ち鍼灸術を行うものである。はり師、きゅう師とあん摩マッサージ指圧師は法制化(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律)された医業類似行為を行う職業である。はり師は金属の鍼(針)を体に刺したりこすったりすることによりツボ(経穴)を刺激し治療を行う。きゅう師は身体の表面に主にモグサを乗せて燃焼させることにより刺激を与え治療を行う。はり師きゅう師ともに同じ鍼灸養成施設で学ぶことにより受験資格を得ることができるため、両方の資格を取得し鍼灸師として開業するものが多い。また、はりときゅうを同時に使用することにより治療を行う場合もある。従来は鍼灸師というと視覚障害者の職業というイメージが色濃くあったが、はり師、きゅう師においては特別な規制は無い。あん摩マッサージ指圧師においては晴眼者(視覚障害を持っていない者)向けの養成施設が少なく、実質的に視覚障害者が保護されるような形となっているが、晴眼者も資格を取得することは可能である。鍼灸師としての治療は自由診療であり(一部健康保険適用も有り)治療費は自由に設定することができる。肩こり、腰痛、四十肩などは現代の日本社会における典型的な症状であり、患者も多く、専門的に治療を行う者もいる。健康保険が適用される症状としては腰痛のほかリューマチ、神経痛、四十肩、頸肩腕症候群、外傷性頸部症候群があり、医師の診断書と同意書により鍼灸師の治療が保険適用となる。

針灸師の養成学校

鍼灸師の資格を取得するには(はり師、きゅう師が正式な資格名であるがここでは便宜上鍼灸師と称する)、国家試験に合格して免許を受ける必要がありが、受験資格を得るためには養成施設で知識と技術を習得しなければならない。晴眼者(視覚障害を持っていない者)の場合、大学受験資格を持ち、国(文部科学省と厚生労働省)に認定された養成施設で3年以上の養成教育を修了する必要がある。視覚障害者の場合は高等学校受験資格を持ち、養成施設において5年以上の養成教育を修了する必要がある。鍼灸師の養成教育実施施設は3年制の短大と専門学校、大学、そして視覚障害者向けの盲学校と視力障害者センターがある。視覚障害者としての入学は矯正視力が0.3未満、又はその他の障害が条件となっている。大学(4年制)は長らく京都府の明治鍼灸大学(現在は明治国際医療大学と改名)一校のみであったが、現在では関西医療大学(旧名関西鍼灸大学、大阪府)、帝京平成大学(千葉県)、鈴鹿医療科学大学(三重県)、森ノ宮医療大学(大阪府)においても鍼灸師の資格を取得することができる。3年制の鍼灸専門学校においては2部制(昼夜)もあり、社会人が働きながら資格を取得することも可能となっている。教育内容は知識と技術の習得が目的であるが、学校により東洋医学と西洋医学のバランスは異なっている。両者の融合を目指す学校、東洋医学の実技(実習)中心の教育を行う学校等様々であり、自分がどのような鍼灸師を目指すのかをイメージして選択する必要がある。

鍼灸師の国家試験と就職

鍼灸師養成教育施設への入学には当然試験に合格する必要があり、ほとんどの教育施設は基礎学力を計る学科試験と面接、小論文を採用している。健康診断も多くの場合同時に行っている。教育内容は大学の一般教養課程に相当する基礎分野、西洋医学的な医療基礎分野、東洋医学知識と実技が含まれる専門分野等に分かれており、見学実習、海外への研修旅行をおこなう教育機関もある。近年では養成施設の増加に伴い、鍼灸教育にも多様性が見られている。鍼灸師の国家試験は、養成施設での教育を修了することで受験資格が与えられる。合格率は80パーセント程度で、初年度に不合格となっても2年目、3年目で合格するのがほとんどのようだ。試験は2月の下旬に行われ3月下旬には合否が発表される。はり師、きゅう師、あん摩マッサージ師の3試験は同時に受験することが可能で、複数を同時に受験する場合は共通科目については重複している分は免除となる。試験に合格し所定の手続きを行うと厚生労働省の名簿に登録されて免許が交付され、治療行為が可能となる。以前は免許取得後は独立開業する者が多かったが、近年では医療機関への就職も増えており、リハビリテーション、ペインクリニック分野の認知などもこれを後押ししており、西洋医学との融合そのものといえる。独立開業する場合も、鍼灸術のみならず、カイロプラクティック、整体、柔道整復師など複数の医療系資格を取得し複合的な治療を行うものも増加している傾向にある。