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 あなたは蕎麦が好きですか?ざる蕎麦におろし山葵をちょっと乗せて、猪口に入った濃いめのつゆに少しだけ付けてズズッとたぐってみる。私は江戸っ子ではないのですが、たとえ「半可通」と揶揄されてもそんな江戸前気取りの蕎麦の食べ方が大好きです。もしあなたが蕎麦が好きなのであれば、一度は自分で蕎麦を打ってみましょう。乾麺を買ってきて茹でるのとは明らかに味が違います。蕎麦打ちにはいろいろと専用の道具がありますが、初心者が「とりあえず」始める分には特別な道具(こねばちや麺切り用の包丁など)は必要有りません。レシピだって簡単です。ちょっとした工夫で自宅の台所が(あるいはダイニングテーブルが)蕎麦を手打ちするスペースになります。台所が狭くてこね鉢や大きなまな板が置けない場合は、テーブルを使うと良いのです。しかし、いつもいろいろなものを乗せている食卓やテーブルでそば粉をこねたりするのはちょっと衛生的に心配、と思われる方もあるでしょう。なので、私はホームセンターで1m四方のプラスティック板を買って使っています。厚さ2ミリ程の透明なものを使っているのですが、使い終わったらガシガシ洗えるので重宝しています。普段は冷蔵庫の横の隙間に差し込むように入れて置いて、いざ使うときは熱湯消毒をしてからテーブルの上に設置します。最初、使う前は蕎麦を手打ちしている最中に浮き上がったりしないか心配だったのですが、空気圧が働くので何の支障もなくこねたり切ったりの作業ができています。蕎麦を切る時はその板の上に普通サイズのまな板を縦方向に置いて、少しずつずらしながら切ります。

手打ち蕎麦の生地は水の具合が重要

 蕎麦を切るのも使い古した菜切り包丁です。高価な道具は蕎麦うちが上達して、「毎週でも手打ち蕎麦をする」くらいになってから購入しても良いと思います。蕎麦の手打ちで初心者が一番気を付けないといけないのは、生地の乾燥具合でしょう。 水分が多すぎてもいけませんが、乾燥しすぎているとゆでる前にパキパキと折れてしまい、さながらショートパスタの様になってしまいます。パンやピザに比べると水の分量の許容範囲は狭いので、こればかりはレシピ通りにするのではなく、毎回そば粉に対する水の量を記録しておき、最適な割合を把握するようにしていかなければなりません。そば粉によってもレシピは違いますし、本職の方は季節や天気によっても割合を変えています。初心者は経験と勘、ではなく正確な計量が一番の武器です。ちなみに、私は粉200グラムに対して水は90ml程度を基本レシピとして微調整しています。蕎麦粉に水を入れたら、パンやピザの生地と同様に良くこねます。蕎麦生地は手打ちうどんに比べると柔らかくて扱いやすい上に、発酵する手間もありませんが、その分水加減に注意を払いましょう。良くこねて蕎麦生地に艶が出たら延ばし始めます。最初に手でゆっくり押しつぶすようにしてから麺棒を使い始めます。厚さが2ミリ以下を目指して、なるべく四角形になるように角度を変えて延ばしていきます。あまり形にこだわってもたもたしていると生地が乾燥してしまいます。台に生地がくっ付かないように適度な打ち粉は必要ですが、打ち粉も多すぎると生地の水分を吸い取ってしまうので注意しましょう。

一味違う手打ち蕎麦を食べるには

 生地が打ち終わったら次は「切り」です。生地を包丁の刃渡りに合わせ、打ち粉をしながら折り畳みます。折る回数は少ないほうが良いです。切り幅は、厚さと同じ2ミリ以下で均等になるように切っていきます。全ての生地を切り分ける事が出来たら早速茹でることにしましょう。蕎麦を茹でる際に気をつけることは、まず第一にできるだけ大きな鍋を使うこと、そして第二に、打ち粉を良くはたいてから鍋に入れることです。茹で加減は最初は蕎麦粉のパッケージのレシピに記載してある通りの茹で時間を守りましょう。但し、茹で時間まで30秒になったところで二本くらいずつ味見してみるといいでしょう。味見と実際に食べる時には歯ごたえが変わりますので、この差をイメージできるようにするのが大切です。蕎麦の太さによって茹で具合にばらつきがでるので、如何にして同じ太さを出すかが前工程での課題となります。ざる蕎麦は、茹で上がった蕎麦を笊にあげて冷水で引き締めますが、この時の笊と食べる時の笊は別の物にしましょう。金属製の笊は湯切りするのも冷やすのも便利ですし後始末も楽ですが、そんなもので食べると雰囲気が台無しです。少し粗めでもかまわないので竹製の笊に移し替えましょう。蕎麦つゆを入れる猪口にも凝ってみましょう。普段使っている食器よりも少しだけ良いものを用意すると、それだけで蕎麦の味がランクアップしたような気がします(あくまで気分の問題です)。