コンピューター関係の資格というのは、いまひとつポピュラーなものがない。それは、コンピュータの世界はすごいスピードで進化をし続けている為、わずか一年前の最新技術はもう「古い」技術になってしまっていることも珍しくないからだ。例外的に有名な資格としては「MOUS(Microsoft Office User Specialist:マイクロソフトオフィスユーザースペシャリスト)」という資格はマイクロソフトのお墨付きなのでそれなりに権威はあるが(実際持っているとそれなりの目で見てもらえることがある)、どちらかといえばインストラクター認定のようなものであるし、「パソコンの技量」ではない。悪い言い方をすると、単にアプリケーションが上手に使えますね、というだけのことだ。しかも一度取得したら終わり、ではなくて更新する必要があるので労力と費用に対して資格の価値が見合わないという声も多い。そんなコンピュータ関係の資格では、システムアドミニストレータが有名だ。しかしながら、「初級システムアドミニストレータを持ってます」と言っても尊敬されることはまずないだろう。むしろ、「だから何?」という、持っていることが自慢にならない対応をされたり、「そんな資格何で取ったの?」という、どちらかと言えば持っていること自体を否定されるような反応が返ってくることの方が多いだろう。もし興味があるのなら、まずは参考書を立ち読みして欲しい。パラパラと見て「何だこれは」と思ったあなたは正常な反応だ。要するに、実際のアドミニストレータ(システム管理者)の仕事にはほとんど役に立たないであろう内容が書かれている。

アドミニストレータを取得するメリット

 では、そんな役にたたなそうな初級システムアドミニストレータの資格を取るメリットはあるだろうか。ここで私は「ある」と断言しよう。一つには「取っていて当たり前」という「声」があるからだ。「取る意味が無いから取らない」という人も多く、確かにそれはある意味で正しい。しかし問題は資格を取る努力をする意欲があり、「本当は取れなかったんじゃないの?」と言われる可能性を排除するという意味であれば十分意味がある。初級シスアドの資格を持っていなくても、実力的にはハイクラスの人は沢山いる。だが、例えばあなたが顧客だとして、「誰も資格を持っていません」という会社と、「初級シスアドは全員持ってます」という会社、どちらを信用するだろうか。実際に全員にシスアドを受験させている会社があるとしたら、非常にしっかりしている会社か、体面だけを取り繕うどうしようもない会社かのどちらかではあるが。資格を取得してそれを履歴書に記載するかどうかはあなたの自由だ。「初級システムアドミニストレータなんて恥ずかしくて書けない」というのならば書かなければ良い。しかし、「シスアドは持っていないの?」という質問に対して、「そんなもの意味が無いから取っていません」と言うのと「持っていますが誇るほどのことではないので書きませんでした」という答え、どちらの方が格好良いだろうか。「取っていません」の方は「落ちたんじゃないの?」という目で見られないだろうか。あなたが就職試験の面接官だとして、どちらに好感を持つだろう。言わずと知れていることと思う。

アドミニストレータの試験対策

決して技術力の証明にもならず、大した評価をされない初級システムアドミニストレータは、要するに日本人のネクタイのようなものだ。高温多湿な日本でネクタイは体裁を取り繕う以外に何の役にも立たない(ファッション的要素はこの際無視する)。それでも、みんながみんなネクタイを着用しているのであれば、していない方が異端となる。試験の内容は難しくない。日常的にパソコンを使い込んでいる上級ユーザーであれば当然知っている内容が多いが、気をつけるのは「試験の情報は古い」ということだ。ダイヤルアップやテープデバイスによるデータの記憶など、前時代的だったり、役に立たないようなインターネットの黎明期の情報などの問題内容が出てきたりすることだ。選択式の問題なので、過去問を網羅した問題集を1,2冊何度か解いておいて、自分の苦手をつぶしておけば十分合格できるはずだ。難しくない試験だが、その試験に不合格になってしまってはいけない。必ず一回で合格するよう、万全を期しておこう。合格しても誇ることはできないが、不合格となることほど恥ずかしいことはない。合格したらどうするか、初級システムアドミニストレータで資格手当が出る会社は非常に少ないと思うが、勤めているのであれば報告しておくべきだ。その際も「合格しました」という態度ではなく、「(大したことのない資格だが)一応、取っておいた」程度の余裕を見せておこう。ちなみに、上級システムアドミニストレータは初級とは異なり非常に難しいが、こちらは取得しておくとそれなりに評価されるので、資格手当が出るようならば是非受験することをおすすめする。